玲と白麗だけの秘密

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***** そして朝の10時を過ぎた頃、 コンコンコン!コンコンコン! ベランダ側の窓から聞こえるノックの音で目を覚ました玲は、 (ん?もしかしてトムかな?) まだボーッとした頭でベッドから出て窓を開けてみると 『おーい玲!大ニュースを持ってきたぞーー!』 やはり先程の可愛いノックはトムだったから、もちろん玲は急いでベランダに出てみたが、 『いいか玲、落ち着いてよく聞けよ? これは今朝の6時に銀次とアンコから流れてきた話なんだけど…… 実は昨日の深夜に佐竹と涼子とエスパーが、横浜の画廊で暴れまくってな? なんと3人揃ってキチだらけの病院に搬送されちまったんだよ!それで今、 蛍丸とレイピアが奴らの病室に張り付いてるけど、どうやら佐竹達は昨日の夜、 画廊で下見をしていた時に、犬の悪霊に取り憑かれて狂っちまったらしいぜ~?』 なんと 早くも佐竹達の情報を掴んだトムが、 少し興奮気味に昨日の件を話してくれたので (犬の悪霊って…きっと白麗の事だよね?) …とは言えない、神様の世界で大人気の玲は 勿論このまま無言で黙って、トムの話を真剣に聞きながら 『つう事で、明後日のビデオ撮影は中止になったんだよ玲、 な~んか拍子抜けな話だけどさ?でもまぁ、とりあえず良かったじゃん、 これで事件は未然に防げたんだからさ?』 「へぇ…そうなんだ…そんな事があったんだ~」 て感じで何も知らないフリをして、複雑な心境で返事をしたけれど でも賢いトムの言う通り、これで今回の事件を未然に防ぐ事が出来た訳だから 『つう事で俺も今から佐竹達の病院に行ってくるから、じゃあ またな今度な~玲』 「うん、わかったー。またいつでも遊びに来てねー」 こうしてトム達を巻き込まずに済んだ、今回のトンデモナイ事件は 今この瞬間 静かに幕を降ろしたが、でも璃音の金塊があのシェルターにある内は、 きっと誰も安心する事は出来ないから……… (とにかく、なんでもいいから(きん)とか(ぎん)の話を振って、 今すぐ璃音さんに金塊の隠し場所を変えてもらわなきゃ!) と再び焦りまくって大騒ぎを始めた玲は、 勿論このままの勢いで、今すぐ動く決心を固めた後すぐに、 (じゃあ今すぐ璃音さんに電話を掛けて~、えっと えーっと、、 あっ、そうだー!今から一緒にお昼ご飯を食べませんかって誘ってみようかな? でも落成式典の準備があるから、今日と明日は忙しいって何度もメールに書いてたし、 …って事で今からデートに誘っても、高確率で私とランチタイムはきっと無理だから~) って感じで、あーだこーだと次々に誘い文句を考えながら、必死で知恵を絞った結果、 (えーっと、確実に璃音さんと逢う為の方法は…… あっ、そうだー!龍崎ダイヤモンドビルに行けば確実に逢えるじゃん! どうしてこんなに簡単な事が今まで気づかなかったのよ私ー!…て言うか~…) こんなの楽勝じゃん!これってまさに灯台もと暗し~…だよね? あははははーーと危険な高笑いをしながら 絶対に気付いてはいけない事に颯爽と気が付いたバカ子の玲は、 急いで出掛ける準備をしてすぐに、いつもの電車で歓楽街へと向かったが…… 本来であれば何も知らない筈の、 そしてヘタレのJKにとっては なんの事だかサッパリわからない、 画廊に隠した200キロのトンデモナイ純金の話を、 一体どんな感じで切り出せば良いのかは、もちろん何も考えていなかった。
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