Clubベルサイユの女神

2/2

136人が本棚に入れています
本棚に追加
/176ページ
「おやおや~?今日は玲ちゃんも一緒に来たのかい?」 なんと いきなり!円行寺彰の声が聞こえたから、 毎日必ずヘタレの玲は、これはヤバいと本能的に思ったけれど、 でも ここまで来た以上は、もう決して後には引けないので 「お疲れ様で~す副社長。えっとさっき駅前通りでぇ 偶然メンバーさんに逢ったからぁ、じゃあ一緒に行こうよ~って話になってぇ、 それでココまで一緒に来たんですよ~、メンバーさんも給料貰ってないぽいし~」 「へぇ、なるほど、なるほど~、 つまりハルカは駅前で偶然彼女に会ったって事なんだね? じゃあ玲ちゃんは~…いったいドコへ行くつもりだったのかな~?」 こうして何故かメッチャ鋭い円行寺彰に 結構ヤバい質問をされても、堂々と顔をあげながら 「えーっと、今日はそのぉ…つまり社会科見学を兼ねて~、 じゃなくて…わっ、わ、私も一応、お給料とか貰ってないので…… だから、き、き、(きん)をですね?時給1000円の(きん)を~ あくまで3時間だけ貰う為に、あの~、そのぉ~、えっと~……」 もはや日本語を忘れた不審者の様に…… 「ですからそのぉ…り、り、璃音さんの(きん)をですね? とにかく今日は、三千円の(きん)を徹底的に追究する為に~……」 こうして華麗な自爆を遂げたのに どこの誰がどう見ても、明らかに怪しい玲の事を なんと彰は、この直後! 「へぇ?璃音の(きん)を追究ねぇ…… じゃあ玲ちゃんも一緒に付いておいで?フフフッ……」 なぜかソッコーで受け入れてくれたので、 (えっ!?こんな説明を理解してくれたんですか? 自分でも何を言っているのか全然わからなかったのに、 やっぱ副社長さんは凄い語彙力~じゃなくて読解力があるんですね~) とは言えないラッキーな玲は、なぜか上機嫌な彰に案内されて、 そして先程からずっとニコニコしている笑顔のハルカと二人で一緒に キラキラと輝く龍崎ダイヤモンドビルの中へと入った後すぐに…… ***** 「今きみ達が居るこのビルはね?1階から5階までが レストランやブティックなどの気軽な店のフロアになってて 6階より上の階は、絵画とか宝石とかの高級店舗が入っているんだよ?」 って感じの丁寧な説明をしてくれる彰の後ろをテクテクと歩きながら 「それで肝心の璃音は今、 7階に作った龍崎グループの新店舗に居るから、 じゃあ今から早速みんなで、7階の店に行きましょうか」 こうして早くも、このカオスなメンバーで キンキラキンの大きなエレベーターに向かったが やはり、やっぱり、そんな事よりも……… 「やったねメンバーさん!もしかしたら30万とか50万とかの、 超~高級なネックレスを貰える可能性も全然あるかもだから~、 これはトットと今から龍崎社長のお店に突撃するしかないでしょう!」 な~んてハイテンション全開のハルカとは対照的に (いやいや高級ネックレスなんて、この際ぶっちゃけ、どう~でもいいけど そもそも、えーっと、なんて言うかそのぉ…とにかく冷静に考えてみれば…… 私はこの後、仕事中の璃音さんに向かって、いったい何をどう話せばいいの? いきなり画廊の件とかエスパーの話をするなんて、絶対、ぜったい、ぜーーったいに無理だし~……) とは言えない…… と言うよりも寧ろ、それだけは絶対に言ってはいけない無力な玲は、 つい勢いでダイヤモンドビルに来ただけで、本当に全く何も考えていなかったから 「そうですよねぇ…」と小さな声でハルカに返事をしながらも、 心の中では無理 無理 無理 無理 絶対むりーー! と大きな声で叫びまくっていた事は、もちろん今さら言うまでもない。
/176ページ

最初のコメントを投稿しよう!

136人が本棚に入れています
本棚に追加