コミュ障ぼっち女子高生と恋愛スキルゼロの寡黙な天然イケメン社長 前編

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コミュ障ぼっち女子高生と恋愛スキルゼロの寡黙な天然イケメン社長 前編

そしてこの後、 あっと言う間にエレベーターで7階のフロアに到着した玲は まるで初めての刑務所に向かう、冤罪の囚人みたいな心境で とにかくノロノロとハルカの後ろを歩いていたが…… ***** そんな事よりも、ふと気が付けば 最高のコミュニケーション能力を持っている彰とハルカは 二人で楽しそうに会話をしながら、 めっちゃ高そうな宝石店の手前でピタッと立ち止まったので ハルカとは正反対のコミュ障スキルを持つ玲も、もちろん無言でドキドキしながら 彼らの後ろで冷凍パンケーキみたいに固まっていたのに、この直後、 「ほらほら玲ちゃんも早くこっちにおいで?」 と優しい笑顔の彰に店の中へと案内されたから さらにドキドキと胸が高鳴るヘタレの玲は このあと急いで彰のそばにテクテク歩いて行ってみると 「さてと、あそこで後ろを向いている人が璃音だよ? きっと玲ちゃんは何か用事があるからココに来たんでしょ? でも あいにく今日の璃音はとっても忙しくてね、 あと30分で本社に戻る予定だから、話をするなら今がチャンスだよ?フフフッ」 なぜか彰は小さな声でアドバイスをしながら 璃音が居る方向に、そっと人差し指を向けたので、 思わず玲はそちらの方向をじっと見渡してみると 次の瞬間、玲の瞳に映った人は、超絶無言イケメンの璃音ではなくて…… (あっ!あの人は確か五十嵐(いがらし)さんだっけ?) なんと、パパラチアのリングとネックレスをもらった時に、 真っ赤な顔の赤面怪獣になっていた五十嵐店長だったから もちろん玲はこの勢いで、あの日に起こった出来事を思い出してしまったが 残念な事に今の自分は『あの』思い出に浸っている余裕なんてドコにもないから このあと即座に頭を切り替えて、 広い店の奥で仕事をしている璃音の姿を目で追う事にしたけれど…… 「おい五十嵐、(きん)のコーナーには手頃なピアスをもっと増やして プラチナのコーナーはメンズのリングとブレスレットを増やしておけ、 あと、このショーケースの色石は、ルビーとエメラルドだけに統一してもらえないか?」 って感じで仕事をしている社長モードの璃音をじーっと見ているうちに (守りたい!私はこの人を…何がなんでも絶対に守りたい! だから行かなきゃ……今すぐ璃音さんの所に行って……! なんでもいいから(きん)とか銀とかプラチナとかの話を振って、 絶対に今すぐ金塊の保管場所を、別のどこかに変えてもらわなきゃ!!) とメラメラ熱く燃え上がってきて、そしてこのままの勢いで! (いや違うでしょ私!何がなんでも璃音さんを守りたいじゃなくて、 何が起きても誰が来ても!たとえパンチパーマのヤクザを敵に回しても! 必ず璃音さんを守り切る為に、覚悟を決めて当たって砕けろーーでしょ?) とは言えないコミュ障ぼっち高校生の一条玲はこの瞬間 ようやく遂に!華麗なる挙動不審な覚醒を遂げたので もう何も怖くないヘタレの玲は、この後すぐに気合い充分で 広くて綺麗なお店の中をキョロキョロしながら歩き始めたのだが
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