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「ねぇ…二人で何やってんの?」
と呆れた声の派手な弟、一条蓮に
めちゃくちゃ恥ずかしいポニテの姿を見られたので
慌てて三面鏡のドレッサーから離れた玲はこの直後
「お帰り~蓮。玲ちゃん可愛いでしょ?
今日から週末だけアルバイトに行くのよ~」
「はぁ?玲がバイト?あり得ねぇ……」
それが ありえるのよ蓮~と楽しそうに会話をしている母親と
メチャクチャ派手な弟の後ろを静かに歩いてサッサとリビングを出たけれど
なぜこんなにも優しい二人を無視するみたいに無言で部屋を出て行ったのか……
それはとても単純な事が理由なので、今から軽く説明しておくが、
つまり玲は陽気で明るいアメリカンな母親と、
金髪ロングのイケメンすぎるド派手な弟に挟まれながら無言でここに居る事が、
そりゃあもうメチャメチャ苦痛だったので……
昔からコミュ障をわずらっている万年ボッチの玲は思わず
いつもの様にトットと自分の部屋に逃げただけの事なのだ。
*****
こうして今日も自分の部屋に戻った玲はこの後すぐに
先ほどマリーからプレゼントをされた黒いパンツスーツに着替えを済ませてサッサと下に降りてきて
人生初の高いヒールの黒パンプスを履いた後、めっちゃ静かに玄関のドアを開けながら、
「それじゃあ えっと~、行ってきます……」と小さな声で挨拶をしながら いつもの様に家を出て、
そしてサッサと近所のバス停からバスに乗って桜が丘の駅に向かい、
いつもとは違う種類の電車に乗って、歓楽街の駅で電車を降りたけど
とっても大きな広い街を一人ぼっちでグルグルと歩き回っている内に……
意外と早く、バイト先のレストランの綺麗なビルを見つける事が出来たので
(じゃあ あの綺麗なビルがバイト先の龍崎第8ビルだから
これで一応は一安心だけど、でも仕事の開始までは、、
まだ40分も時間があるから ここはひとつ勇気を出して
あそこのオシャレなカフェのお店で、少し休憩をしようかな?)
と思った玲は少しドキドキしながらも、
偶然見つけた可愛いカフェで、しばしの休憩を取る為に
これまた人生初となる、オシャレなオープンカフェの店に向かって颯爽と歩き出していた。
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