謎の超絶無言イケメン

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次の瞬間、なんともラッキーな事に 小さな文字で『タイムレコーダー』と書かれた、細い溝付きの時計を見つけたので もしかして、この中にカードを入れたらいいのかなぁ…と微妙に思った賢い玲は、 人生初のタイムカードを右手で持って、一人でキョロキョロとパニクっていたら…… この後、いきなり唐突に、 ガサッ…ガサッ…パラッ…パラッ…… と部屋の奥からガサガサとした音が聞こえてきたので ビックリした玲は思わず慌てて後ろを振り向いてみたけれど 次の瞬間、玲は息を飲んでいた。 なぜなら玲が見たものは……… (……あれは……何? マネキン…とかじゃないよね?) と思うレベルの整い過ぎの以下略の、 まるでギリシャ神話の彫刻みたいな超絶イケメンの男性が 狭い事務所のソファーに座って、 謎の書類をパラパラと(めく)っている光景だったからだ。 ***** そして玲の存在に気付いた超絶イケメンは 優雅な仕草で書類を捲る手をピタッと止めた後すぐに、 なぜか無言で静かに椅子から立ち上がり、 しかもそのままの勢いで玲に向かってドンドン歩いてきたので (えっ?なんでこっちに来るの?どうしよう!) とは言えないヘタレの玲は、そりゃあ勿論この直後、 見知らぬ無言イケメンの男にペコペコと頭を下げながら (無言イケメンさん ごめんなさい!) と心の中で謝って、 ついでに右手のタイムカードをタイムレコーダーの中にガチャンと放り込み、 そしてそのまま光の速さで慌てて事務所を飛び出して行ったのに…… ***** このあと急いで厨房に戻った玲は、 到着早々このままの勢いで、 豪華なフルーツの盛り合わせを作っている最中の忙しいチーフから 「じゃあそろそろ店が忙しくなって来たので 今からホールで雑用のメンバーをやってもらえますか?」 と仕事の命令をされたので…… もちろん玲はこの後サッサとホールに向かったが とにかくメチャメチャ社会情勢に(うと)いコミュ障の玲は 豪華な客席で接客をしている派手なホステス達を見ても尚 未だにClubベルサイユがなんの店であるのかを全く分かっていなかった。
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