41人が本棚に入れています
本棚に追加
2年後
「博愛、20歳のお誕生日おめでとう」
「ありがとう、叶夢」
ここはパパが私の誕生日に予約してくれた高級レストラン。
3名分の予約を取ったが結局寸前に仕事が入り、今年も私と叶夢だけでのディナーとなった。
「今年のお父さんからのプレゼントは何だったの?」と叶夢。
「内緒」
本当は何も貰っていない。
今年も去年もパパに何が欲しいか聞かれたけど、18歳の誕生日にプレゼントしてくれた『叶夢』で充分だと伝えた。
本当に、叶夢がいてくれれば何も欲しくない。
以前の私なら、別に欲しくなくても流行の物などをおねだりしていたと思う。
でも、パパが一生懸命働いたお金を無駄に使うのは良くないと思った。
叶夢と過ごすことで、お金を使うべきところと控えるべきところを判断することを学んだのだ。
叶夢は多分、私が想像する以上にお金がかかっている。
だけどその叶夢のおかげで私はダイエットも順調に成果を出し、料理も教えて貰い、勉強もみてもらえるので大学も無事入学、単位を落とさず進級出来た。
何より、アンドロイドではあるが人と過ごす楽しさを叶夢に教えて貰えた。
叶夢にはずっと一緒にいて欲しい。
10年後も20年後にも…私がおばあちゃんになっても。
食事が終わり、店員に見送られながら叶夢の腕を取って店を出る。
「さっきも言ったけど、今日の博愛の装い素敵だね。良く似合っているよ」
「ありがとう。来週のパパの会社のパーティーに着て行こうと思うの。…地味かな?」
「いや、大丈夫。ここにコサージュを付けて…」
笑顔で話をしていた叶夢は、急に覆いかぶさるように私を抱きしめ、道に倒れ込んだ。
―――ドンッ、ドンッ!と2回、大きな衝撃を受けた。
最初のコメントを投稿しよう!