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「は?アンドロイドってロボット!?嘘だぁ!見た目全然人間だし、普通に喋れるじゃん!」
ウチの家で雇っているアンドロイドは皆、無表情で会話も最低限のものだ。
彼らは主に掃除や洗濯、料理を担当している。
「僕のボディは最先端技術を持って精巧に作られていますし、AI、つまり人工知能でコントロールしているので、会話も成立します」
そう言われても信じきれない。
私好みの超美形ということを除けば、普通にその辺にいても「人間ではない」とは気が付かないだろう。
「彼ならさ、絶対に博愛ちゃんを裏切ることないでしょ?結婚相手が決まるまで、人間の男じゃ無くて彼を彼氏にしていれば良いと思うんだぁ」
「……裏切らない?」
「はい。僕は博愛さんを愛するようにプログラムされているので、何が起きても裏切りません」
アンドロイドの彼は私のそばに来て、また優しく笑う。
うわぁ、ズルい。その微笑み。
私の皮下脂肪に守られた心臓を見事に撃ち抜いた。
「じ、じゃあ…アンドロイドっていう証拠はあるの?騙していたら承知しないから!」
「証拠ですか…」
彼は少し悩んだそぶりを見せ「失礼します」と言って、椅子に座っていた私を抱き上げた。
―――80kgの私をいとも簡単に!
歴代彼氏に「お姫様抱っこして」とお願いしても、土下座をしてまで断られていた。
それを彼は軽々と、そして踊るように回転までしてみせた。
「どうですか?博愛さんおふたりでも抱き上げる事は出来ますよ」
確かにこの私を抱きかかえた上に踊れるなんて、アンドロイドでないと出来ない技だろうし、逆にこれほどスムーズに動けるなら、アンドロイドだと誰にも気付かれないだろう。
「いいわ。私の彼氏になる資格があるか、明日テストしてあげる。朝10時にY駅前の噴水で待ち合わせよ。そのダサい服も何とかして来てよね」
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