彼氏

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 朝から晴天のY駅前の噴水横。  。  ―――忠犬のようだわね。  私はアンドロイドの彼が待ちぼうけしているところを、駅ビル1階喫茶店の窓際から眺めている。  白いシャツがよく似合う、誰が見てもイケメン。  爽やかな笑顔のまま、改札から私が出てくるのを姿勢良くじっと待っている。  さっきから声をかける女が何人もいたけど、丁寧に断っているようだ。  断られた女達は、遠巻きに彼を見つめている。  さて、そろそろ迎えに行ってあげようかな。  私は紅茶とパンケーキのお会計をし、駅構内側の出入り口から喫茶店を出る。  改札の手前の通路から出ると、彼はすぐに私を見つけたようで満面の笑みで手を振ってきた。  周辺にいた女達の視線が私へ集中する。 「はぁ!?」「マジで!?」「あり得ない!」  女達は驚きのあまり叫ばずにはいられないらしい。  そうよ、このイケメンはこの私を待っていたの。  羨ましいでしょう。  彼は私を愛しているんですって! 「おはよう。待たしちゃったかしら」私は悪びれもなく彼のそばへ歩み寄る。 「おはよう。君のためなら何時間でも待っていられるから大丈夫だよ」  彼は嬉しそうに答えた。  うん、まず合格。  ここで怒る奴、「今来たところだよ」と言う馬鹿な奴は不合格。 「いいわ、私の彼氏にしてあげる。あなた、名前は?」 「本当?嬉しい。僕は叶夢(とむ)。夢を叶えるって書くんだよ」 「へぇ、叶夢。面白い名前ね」  私がフッと笑うと、叶夢はまた嬉しそうに笑った。  ……アンドロイドに夢を託すなんて、あり得ないわ。
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