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「それは…僕自身に、博愛さんからの愛が感じられないからですよ」
叶夢は少し戸惑いながら答えてくれた。
「は?だって叶夢はアンドロイドでしょう?アンドロイドを愛するなんて、おかしいじゃない」
「アンドロイドでも人格がある以上、愛されたいのです。一方通行の愛では悲しいです。その気持ちの表れが、僕のボディに影響を及ぼすのです」
つまり、愛されている自覚が無いとイケメンから遠ざかっていくようにプログラムされているという事か。
「じゃあ、私が叶夢への愛を意思表示出来れば、叶夢は元の姿に戻るという事?」
「はい、そういう事です」
叶夢は笑顔で答えてくれた。
「……わかった、努力する。だけどどうすればいいのかわからない」
よく考えてみると、私が誰かを愛したことはあったのだろうか。
「そうですね。ひとまず博愛さん自身がされて嫌なことはやめて、喜ぶことを考えてくれればいいと思います」
「私が嫌なこと…」考えて、パッと出てくる事がない。
「ええと、例えば約束の時間を守ること。待っている間はとても寂しい。あと、どこかに使いっ走りをさせるのではなく、一緒に買いに行く事。一緒にいる時間を少しでも多くとりたい」
言われてみれば、確かに私に思い当たる節があった。
「小さな事で良いんです。出来なくても良いんです。そうしようとしてくれる気持ちだけで…嬉しいのです」
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