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その後、私の日々の心がけだけで、叶夢はみるみるうちにイケメンの姿に戻っていった。
それは非常に喜ばしいのだが、また気になる事ができた。
私は、叶夢が格好良くなっていくのが嬉しかった。
では叶夢は?
こんな巨体でニキビ面の私を連れて歩いて嬉しいのだろうか。
一緒に歩けばすぐに大量の汗、靴擦れ、股擦れを起こす。
すぐに疲れてしまい、毎度お姫様抱っこをしてもらうのもどうかと思う。
顔の作りに関しては、私の素質は悪く無いはずだ。
パパはともかく、死んでしまったママは超絶美人だったのだ。
「ねぇ叶夢。叶夢は私が痩せてキレイになれば嬉しい?」
叶夢は驚いた表情からすぐに笑顔になった。
「僕は博愛さんが美味しそうにご飯を食べるところを見るのが好き。だから、無理なダイエットはして欲しくない。だけど、博愛さんが健康的になりたいと言うのであれば、喜んでお手伝いするよ。実は僕には健康管理プログラムがインストールされているんだ。博愛さん、一緒に頑張ろう」
その日から叶夢は私の彼氏兼トレーナーになった。
私の健康状態を瞬時に察知して、その日の運動メニューや食事のプランを立ててくれる。
ランニングも水中ウォーキングも叶夢は一緒に参加してくれて、ずっと励ましてくれている。
しかも、小さな目標を設定して、それが達成出来ればご褒美をくれると言うのだ。
買えるものは何でも手に入る私に何をくれるのかと思いきや、最初のご褒美は「……博愛、よく頑張ったね」と笑顔で左ほっぺにキスをしてくれた。
こんな事してくれる彼氏なんて、今までにいなかった。
感極まった私が急に泣き出したので、叶夢は非常に困ってオロオロしていた。
「ごめん、嫌だった?」
「ううん、嬉しい。……次のご褒美はおでこにちゅーして」
私の提案に叶夢は吹き出し、
「うん、わかった。頑張ろうね」と微笑んでくれた。
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