そうじゃない

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 いや、そうじゃないのよ、さっきから。アンダーソンとかいうなんとかグモ? アイツをやっつけてほしいのよ!  心拍数を上げながらアンダーソンを探す。遼河の後ろに隠れて……だけど。 「はぁ……ったく。アダンソンみたいなちっちゃいクモにいちいちビビってたら、ずっとビクビクしながら生活するようになるじゃん」 「……え? 今なんて言った?」  今、聞き捨てならない文言が耳に届いたのだが……。 「だから、ビクビクしながら……」 「いやいやいや、その前!」 「アダンソンみたいなちっちゃいクモ……」  私は細かく首を振った。 「違う! アンダーソンじゃない!」 「だから、アンダーソンじゃなくてアダンソンだから」  私は更に大きく横に首を振る。 「違うのよ! アンダーソンじゃない! 大きさが違う! 全然ちっちゃくないのよ!」 「なんだって!? 小指の爪ぐらいじゃないのか?」 「足まで入れて握り拳ぐらいだよ!」  しばしの沈黙が、二人の間を流れていった。私たちは見つめ合い、何も言わなくともやっと話が噛み合った感じがする。 「アダンソンじゃない……」 「うん、アンダーソンではない……」 「となると、アシダカグモか!?」 「そう! それかも! アシナガグモ? 確かに足長かった!」 「いや、アシナガグモもいるけど、大きさからして多分アシダカグモかな」
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