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なんだクモか、と安心した様子が隠れた遼河の背中からでも分かった。やっぱり頼りになる。私も遼河の陰でホッとした。
「どうせアダンソンだろ?」
……アダンソン?
「誰よ、そいつ。友達?」
そんな外国人の友達がいたとか、聞いたことがない。何なの? 英語? そういう言葉があるのかな。
遼河が部屋をのぞきながら、少し小バカにして笑っている。
「なんで俺が友達なんだよ」
「じゃあ何なのよ」
イラついたので背中をバシッと叩いてやった。
「いってぇな。ハエトリグモの一種で、アダンソンハエトリってクモだよ!」
「名前なんてどうでもいいのよ! さっさとアイツをやっつけてほしいだけ! アンダーソンだかダイソンだか知らんけど!」
「アンダーソンはまだしも、ダイソンって掃除機か!」
「だからアンダーソンもダイソンもどうでもいいのよ! 逆にアンダーソンならまだいいみたいな言い方だけど、ダイソンはダメで、アンダーソンならいい理由が知りたいわ!」
「いやいや、アダンソンとアンダーソンはまだ似てるだろ。ダイソンって、高くて貧乏学生には手が届かない高級掃除機だよ!」
「確かに手は届かないけど……って! 危うく丸め込まれるところだったわ! 違うのよ! そうじゃないのよ!」
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