そうじゃない

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 今問題なのは、私の部屋にはクモがいるってこと。アンダーソンとかダイソンとか言ってる場合じゃないのよ。 「早くアンダーソンやっつけて!」  恐怖と混乱で興奮状態な私は、遼河を部屋へと押し込んだ。   「アダンソンだってば……で、どこ?」 「そこのリモコンの近くにいたんだけど……あれ?」  リモコンの付近はいない。辺りを見回したけど姿はない。アンダーソンとかダイソンとか言ってる間に、アイツは行方不明になってしまった。 「ちょっと! どこに潜んでいるのか気になって何もできないじゃん!」 「そう言われても、出てきてくれないと俺にできることはないよ」 「じゃあ探して!」 「え〜……」  分かるよ、言いたいことは分かる。でも、私はアイツがいるこの部屋で寛ぐことなんてできない。とにかく遼河だけが頼りなの! 「アダンソンいたら、コバエとかGの幼虫とか、虫食べてくれるから共存すればいいんだよ」 「共存!? ありえない! 私がどれだけクモが嫌いか知ってて言ってるの?」  クモがワサワサいる部屋で、私がご飯食べてるとか、風呂上がりに全裸でエアコン前で涼んでるとか、考えられない! 私は身震いした。 「あ、アダンソンハエトリは、命名者がなんとかアダンソンって人にちなんで、アダンソンって付けたんだよ」 「へー……なんとかアダンソンね。なんとかが気になってくるわ」 「……ググってください」 「中途半端な豆知識だね」
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