これからもよろしく

3/9

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「あかんて。それ捨てたら」  父ちゃんが、急いでダンボールに入った不気味な木彫り人形を取り上げた。 「なんでよ。ええ加減処分せな、ここもいっぱいになってきてるやん」 「いや、まあ、それはあかん」  父ちゃんは、不気味な木彫り人形を棚に戻してそう言った。 「じゃ、こっちの半分、ひとまず処分しましょ」  母ちゃんは、ざっくり棚の半分を指差した。 「いやいや、あかんて。どれも大事な宝もんなんや」 「何が宝もんやの。埃かぶってるやん」 「で、でもなー」  まごまごしている父ちゃんをよそに、母ちゃんは棚のものをダンボールに詰め始めた。 「おい! おーい!」  父ちゃんの声も虚しく、棚のものがダンボールに入れられて行く。  それからしばらく、父ちゃんと母ちゃんは言い合っていた。  けど、結局は父ちゃんが「お土産」として誰かに買ってきてくれた事が仇となって、母ちゃんの「私はいらん」という一言で、処分されることになってもうた。  ちょっと父ちゃん可哀想やな。と思った。 「なっちゃん、これ、なっっちゃんへのお土産らしいけど、いる?」  母ちゃんは不気味な木彫り人形「髭のおっちゃん」を差し出した。 「いらん!」  わいは、間髪入れずに答えた。  ごめんな父ちゃん。これはいらんわ。なんか不気味やし怖いんやもん。 
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加