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アサヒの演奏は、完璧だったと思う。
でも、ただ完璧じゃダメってことなのかな。
確かに、ただ完璧なだけなら、今の時代ならパソコンと周辺機器があればなんでも作ることが出来る。
ある意味、そこに人間らしい温もりだったり、不確かさがいるってことなのだろうか。
人は、人と同じような物を作ろうとする。
人形が特に良い例だろう。
ただ、同時に無機質なそれを恐れもする。
だから、より人に似せようとする。
でも、より人に近づければ近づけるほど、人はそれを不気味に感じる。
美しければ美しいほど。
精巧であればあるほど。
だから、そこに魂を宿そうとする。
そうか……そこに魂がないとダメなのか。
でも、先ほどの演奏は決してそんな感じではなく、無機質でもなかった。
むしろ豊かな音楽で、完璧だった。
魂がこもっている演奏だったと思う。
……と言うことは、魂が宿っていても、完璧すぎるとダメだということなのか。
素晴らしいと思うのだけど……。
少なくとも、アサヒの恋人であるサナは、気後れしていると。
同じように音楽をしているからかな……。
……難しいな。
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