月の光

15/15
前へ
/15ページ
次へ
 そう言われても、僕にはピンと来ない。 僕は、今の技術で最も優れたArtificial intelligence.つまりAI搭載型の、最先端の自己再生型の人工皮膚と、人工骨格を持つ完璧な存在として創られている。だからと言って、複雑な人の心が分析できるわけではない。少なくとも、僕自身はそう思ってる。  ただ、藍を大切だと感じるし、何かあれば守りたいし、ずっと一緒にいたいと感じている。 「じゃあ、僕と他の人との違いは何?」 「そんなもの、なんにもないよ。 愛があれば、人工的に作られたとか、そんな区別なんて些細なことだよ。 愛はとても尊いものなんだよ。 瑛、自分の気持ちに自信を持ちなさい」  僕はそう言われて、とっても嬉しかった。 明日も藍に会える。 そう思うとわくわくする。  明日はどんな会話が出来るのだろう。  明日はどんな表情がみれるのだろう。  明日も藍の演奏を聴くことが出来たなら、きっと僕はまた感動して泣いてしまうだろう。  これが愛なのかもしれないんだね。  これが生きてるって感覚なんだね。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加