月の光

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 僕は現代国語の授業の間は、ずっと窓側の席に座る藍を見ていた。 日の光が強くなったり弱くなったりする度に、藍の姿に陰影ができる。  僕は、その姿が美しいと思った。  そんな時だった。 授業内容をちゃんと聞いていないことを悟られて、僕は黒板の前に立たされて、自分が感じた気持ちをチョークを手に持って書いていた。  誰からも愛されたことがない主人公が、同じクラスの幼馴染みに恋をして、告白するまでの物語だ。ただ、作者の意図で、告白後がどうなったかについては、物語の中では語られてはいない。  僕は、黒板に結果が問題ではなく、人を恋する気持ちが一番大切なことと書いた。  すると、教師からはありきたりで曖昧な説明があった。 つまりは、どう感じるかは人それぞれと言うことなのだろう。
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