旅立ち、あるいは序章

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 老人が言った。 「おまえたちのうちの、どちらか」  まだふんわりと暖かな空気の残る室内で、まゆはうろたえていた。  ほんのついさっきまで、まゆは家の近所を歩いていたのだ。  でももしかしたら、ついさっきではないのかもしれない。  だって、まゆたちはここへ来るまで、ずいぶん歩いた気がする。
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