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胸に手を当てて考えてみた。それはどれだけ祈っても叶わないのか、祈ってる暇があるなら行動すべき類のものか。
綺麗事も、脳筋系の考え方も嫌いだ。いくら祈ったってこの世界から戦争を根絶することはきっとできないけど、だからって素手と気合だけでただの石ころをダイヤモンドに変えるのも無理だと思っている。
大事なのは冷静に現状を分析して、打開策を練ること。そして、それを実行に移すことだ。私は策を練ることまではそこそこ他人よりしっかりできる自信があった。
だからこそ、今の私は、余計にどうしたら良いのか分からなくなっている。
気づいてしまった。
彼が私にどうしていつも「リンは髪を染めないほうが可愛いと思うな。というか染めないで」と言うのか。
スカートとかワンピースを着るのが好きな私にいつも「パンツスタイルも似合いそうだけど」と、それとなく勧めてくるのか。
どうして彼は、機会があればすぐに自分の好きなアーティストのライブに私を連れて行こうとするのか。
ダイエットに勤しんでいたら「そんなことしなくたって好きだけどね」とか……ああ、でもそれはもしかしたら関係ないかもしれない。私が体重計の示す数値に対して、過敏になりすぎているだけかも。
とにかく、なんとなく分かってしまった。
私がだんだん、彼が過去に付き合ってきた恋人たちに似てきたこと。
それは私が、さっき述べたような彼の働きかけに応じた結果であること。
なにより、ほいほい従ってきた自分の涙ぐましくて芳しくもある努力の結果が、それらであること。
私が泣いて良いのかはわかんないけど、どうしても堪えられず、気づいた時は少しだけ泣いた。
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