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 新幹線の出発の時間までは、まだ、しばらくあった。  あいつが缶コーヒーを二本買ってきて、その内の一本をわたしに渡した。  わたしたちはベンチに座って、黙ったまま缶コーヒーを飲んだ。 「じゃあ、そろそろ行くね」  缶コーヒーを飲み終えて、わたしが立ち上がろうとすると、 「あの」  ようやく、あいつは話し始めた。そして、 「また会える?」  と聞いてきた。  会いたいよ。  会いたいに決まっているよ。  だけど、じゃあ、あの子はどうするの? 「分かんない」  わたしが声を絞り出すように答えると、 「ちゃんとするから」  先程と同じ台詞を、あいつは繰り返した。  
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