青年期

3/3
前へ
/13ページ
次へ
 脅しに屈した哀れな魔人は小舟を漕ぎ始めた。 「魔法でどうにかできないのか?」 「魔法は願い事にしか使えないんですよ」  ぶつくさ言う主人を睨みつけると、驚くことに彼は手を止めている。 「何してるんです?早く水を掻き出してください!」  慌てる魔人を見て、彼はニヤッとして言った。 「それがあなたの願い事ですか?」  命からがら逃げ延びた二人は、近くの港にたどり着く。「魔人生」初の重労働に業腹の魔人は、主人に提案した。 「ヨック海賊団を潰しましょう。願いは割り勘でいいんで」 「なんだよ、願い事の割り勘って」  アランは笑った。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加