壮年期

1/5
前へ
/13ページ
次へ

壮年期

 青年はいつしか壮年となった。  彼はもう義賊ではない。富める悪と戦う、義勇軍の指導者だった。  アランの住んでいる国では貧富の差が激しく、また、階級制度も厳しいため、誰の子どもとして産まれたかで一生が決まってしまうと言っても過言ではなかった。  そのような社会では、富める者、階級の高い者が傍若無人な振る舞いに出ることも多かったため、彼はそういった相手に対し、貧しくとも数の力で戦う義勇軍を率いることにしたのだ。  彼の義勇軍の戦績は圧倒的で、無敗を誇っていた。リーダーである彼の賢さ、勇敢さ、そして用心深さがそれを導いていることは確かだったが、それにしても奇跡的だ。  周りのものが不思議に思って尋ねると、彼は言うのだった。 「俺は魔法が使えるのさ」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加