壮年期

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 魔人が主人をからかう。 「まさか、あなたも魔法が使えるとは知りませんでした」 「魔法なんて使えるわけないだろ。俺が無敗なのは、単に勝てる相手としか戦わないようにしているからさ」  彼は鼻で笑った後、真面目な顔になって続けた。 「でも、無敗でいることで使えるようになる魔法はあるんだ」  義勇軍の、というかアランの次の相手はこの国の大臣だった。大臣はやり手で王からの信頼も厚く、この国の政治を牛耳っていたが、実はクーデターを企てており、その資金の調達のために、自身の領地の民に重税を課していたのだ。  その情報を昔の盗賊仲間から聞いた彼は、それをネタに大臣を脅し、傀儡化することを目論んでいた。
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