さよならテディ

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パパはまだ起きてこない。 私は息子の海斗の学校の準備をしながら、せわしなく朝食の用意をしていた。 テレビでは、ペットボトルの代替品として開発されたボトルが紹介されていた。 「ペーパーボトルは液体に対する耐性がとても強いんです。それなのに、虫が食べたり燃やしたりすると簡単に分解されて自然に帰るという性質があり、海洋プラスチック問題のようなことが起きない環境にやさしいボトルとして注目されているんですよ!」 ニュース番組の中で、リポーターの女性が喋っていた。 今までの紙パックとは硬さが違い、同じ素材でできたキャップも付けられているので、まるでペットボトルのようだった。もはやペットボトルは必要なくなり、ほとんどがペーパーボトルに置き換わっている。 いまさらテレビで紹介することもない。ペーパーボトルは私たちの生活に浸透し、いまだってペーパーボトルに入ったジュースを息子の海斗のコップに注いでいる。 「パパも朝ごはんの準備手伝ってよ!」 「ごめんごめん、昨日も仕事で遅くなって……」 やっと二階から降りてきたパパがあくびをしながら言った。 マイペースなパパは職場でも周りから依頼されるまま仕事をため込んで、いつもいつも忙しいらしい。それをなんとなく知っている海斗は、パパを無理に起こしたりせずに一人で遊んでいるし、最近は甘えたりもしなくなってきた。
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