#02 ビターな社員旅行

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 あの時、たかみんは私に気づいていなかった。そうじゃなかったら、呑気にフランス自慢のLINEを送ってくることはないと思う。  2人に対する、付き合ったことをなんで教えてくれなかったのかという寂しさ。  まりのちゃんのあの時の勝ち誇ったような表情に対する腹立たしさ。  ふたつの感情は、時間が経つにつれて薄まっていった。 ─​─────── 「はぁ…嫌な事思い出しちゃったな。」  自分の買い物を終え、帰宅。その日はいつもより1時間ほど早く寝た。 ────1週間後。  待ちに待った社員旅行☆(大嘘)がやってきた。恋人がいたことがない私に対するイヤミとも受け取れる場所……出雲大社を巡るツアーであった。  金曜の21時に駅集合とかふざけてんのか…と思いながらも、駅に到着した。寝台列車で同期の咲ちゃんと隣になる。  咲ちゃんはマシンガントークをするタイプの人間だ。私の話を聞いてもらったことは片手で数えられる程しかない。だが、可愛くて実際によくモテる。 「今回の旅行先が出雲大社って、コレ絶対運命だと思うんだよねー!」 「へぇー。なん…」 「先週彼氏と別れちゃったの!!もぉ全然話を聞いてくれない人でさぁ?」  心中お察しします咲ちゃんの元彼の人…と思いながら相槌を打っていたら寝落ちし、あっという間に島根県出雲市に着いた。  とは言っても、東京から寝台列車で半日以上かかるけど。(なんでここを選んだんだ?という疑問は未だに残る)  寝台列車からバスに乗り換え、旅館に向かう。  
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