第二章 ダリア姫の悲劇

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 ダリアへ  今までわたしと友だちでいてくれてありがとう。  こんなに体が弱くなければ、もっと一緒に遊べたかもしれない。  いつも会う場所がわたしの家で、お花のお土産を持ってきてもらって……。  うれしかったよ。でも、ダリアになにもしてあげられないのがもどかしかった。  ダリア、あなたにずっと言えなかった秘密があるの。  実はね、もう長くなかったの。  眠ったらもう、起きることがないんじゃないかって。  お医者さんには、半年も前から「よくない」って言われてたんだ。それでも今日までおとうさんとおかあさん、そしてダリアといられたのは、あなたのおかげだったの。  幸せだったから、もし遠くにいくことになったとしても、後悔はなかったの。でも、ダリアになにも返すことができないのはつらいなって思ってた。  そうしたら、今日ダリアが泣きながらわたしに会いに来て、びっくりした。  いつも笑顔のあなたが、顔をくしゃくしゃにして泣くんだもの。どうしたらいいのかわからなかった。  ゆっくり話してもらって、わたしはやっと理由がわかった。そして不思議とホッとしたの。わたしが最後にあなたのためにできることがわかったから。  ダリア。落ち着いて聞いてね。  わたしが代わりに赤鬼さんとともに湖底楼へと向かいます。  赤鬼さんはダリアの話よりもずっと優しそうな人でした。なので、彼を責めないでください。そして、わたしを探しに来ないでください。これが最後のお願いです。ダリア、どうか聞き届けてください。  いつも笑顔のあなたが、ずっと大好きですよ。  ダリアの大事な友だち、アゼレアより
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