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第四章 ダリア姫と友情
図書室にこもる時間は日を追うごとに長くなるというのに、打開策のヒントになりそうな記述はなにも出てこなかった。
食事は図書室のとなりの客間に運ばせ、睡眠もその部屋のソファーで済ませる。自分の部屋がある塔まで往復する時間すら惜しみながらありったけの本を読み漁り、さらにヒントとなりそうだと思った本なら二度三度と読み返したのに、なにも進展がないことにダリアは苛立ちを感じていた。
今日も朝陽が昇ると同時に図書室のカーテンを全開にして本を読み始めた。海の生きものの辞典というものを読んでいたが、タコに関しての説明はそれほど多くなく、落胆のため息が漏れて終わった。
「ダリアさま、食事の用意ができました」
部屋のノックと同時にとびらが開くと、メイドがそっと顔を出した。
「となりのお部屋にお運びしておきました。よろしかったでしょうか」
ダリアは本を閉じて立ち上がると「うん」と浮かない顔でうなずいた。
「王子さまから、ご夕食をご一緒できないかとのことですが」
「いいえ……」
ダリアはすぐに断るつもりで「いいえ」と答えた。しかし、すぐに考えを変えて、メイドに笑みを向けた。
「良いわね、そのように用意してちょうだい。私もたまにはゆっくり食事をとるわ」
そして図書室のカーテンを閉めてから部屋を出た。
「それから、お昼はサンドイッチを。カゴに詰めておいて。外で食べるから」
「了解いたしました」
ダリアが客間のテーブルにつき、食事をはじめるところをメイドはしっかりと確認してから、自分の持ち場へともどっていった。
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