昔話ノ章 湖底楼と赤鬼の伝説

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 ドラゴンが姿を消してから、少しずつポラリス王国は復興していきました。  消えた王さまや王子の子どもたちが、新たに王家を立て直しました。まもなく平和が訪れるようになり、国民にも笑顔がもどってきたころです。  王家の城に、真っ赤な少年があらわれました。足の先から顔まで真っ赤な彼は、自分のことを「森の奥の湖底楼。その楼主から遣わされた赤鬼(レッド・オーガ)」と名乗り、用件を告げました。それは「王家の中から一人、姫を楼主に差し出せ」ということ。  新しい王さまは当然のように拒否しました。すると赤鬼は「王家をはじめ、この国がふたたびドラゴンのような災厄におそわれ、多くの不幸に呪われるようになるだろう」と告げました。  まだドラゴンの爪痕が記憶に生々しく残っている新しい王さまは、仕方なく一番若いお姫さまを真っ赤な少年に引き渡しました。  それから百年ほど、国には平和が訪れました。  真っ赤な少年――赤鬼もそれ以降あらわれなくなりました。ただし、森の湖の周囲ではたまに赤鬼が見回っていると噂が立ち、国民のだれもが立ち寄ってはならない場所になりました。  その赤鬼がふたたび姿をあらわしたのは、さらに五十年ほど経ったころでした。
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