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田中さんとは以前にも会ったことがある。
前は私の友達の真理子―――マリちゃんと一緒だった。
私とマリちゃんが一緒に学校から帰宅している最中、今回のように大きな荷物を持った田中さんに出会った。
当時、私は田中さんが重そうな荷物を運んでいることに誰よりも早く気が付いていた。
しかし、助けてあげたいという気持ちとは裏腹に、見知らぬ人に手を差し伸べることが怖いという気持ちが勝って躊躇してしまった。
そんな中、マリちゃんは真っ先に田中さんに声をかけていたのを覚えている。
この日、マリちゃんは塾に遅れそうだったため、急いで帰宅している最中だった。それなのに、自分のことは顧みず、目先の困っている人に手を差し伸べていた。
田中さんの荷物を運んですぐにマリちゃんは塾へと走っていったが、後日、塾に間に合ったのかマリちゃんに聞いたところ
「全然! 遅刻した!」と笑顔で話していた。
お人好しすぎるな、とたまに思うこともある。そう思う一方で、自分のことを後回しにしても人のことを気にかけてしまうようなマリちゃんのことが誇らしかった。
よく見せるにこやかな笑顔や明るくて素直な部分も好きだった。マリちゃんとは幼稚園から現在の高校まで一緒に育ってきた幼馴染だ。
昔からよく遊んで、いろんな話をして、私にとってはかけがえのない存在だ。
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