昨日の等容

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 高校一年生の秋、私は母の口から思いも寄らない言葉を聞いた。  「マリちゃん、病院に運ばれた……って」  急ぎ、母の車で病院へと向かったが、私は気が気でなかった。車の中で母が何かを話していたのは覚えているが、何を話していたか、頭に内容は入ってきていなかった。  病院に運ばれたといってもそれほど大したことはないに違いない。そう思い込んで、大丈夫だと自分に言い聞かせていたが、病床で眠るマリちゃんの様子を見て悪い予感が的中したと感じた。  病室にいたマリちゃんのお母さんが詳しい事情を教えてくれた。 「優里ちゃんは知ってると思うけど……真理子、てんかんを持ってるでしょ……。それで、発作のせいで階段から落ちちゃって……。頭の打ちどころが悪かったみたいで……お医者さんが言うには脳に障害が残るって……」  マリちゃんのお母さんは話しながら、涙をこぼしていた。言っていることは理解できたが、私にとってはまだ現実味のない出来事だった。    マリちゃんのお母さんは酷く取り乱している様子だったため、私は気遣って病室を出た。  そして、意味もなく病院の周りをぐるぐると歩いていた。
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