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そして、私と真理子は高校二年生になり、同じクラスで生活している。
私が次の授業の準備をしていると、真理子が近くにやってきた。
「何?」
私はわざとらしく不機嫌そうな態度で真理子に問いかける。
「ねえねえ、聞いて聞いて! うちで飼ってる猫がさ、めちゃくちゃ可愛くてさ! 今朝なんかも膝の上に座ってきて、もう、可愛すぎるんだよね! 歩いてても可愛いし、何してても可愛いんだよねー。それに加えてさーーー」
また始まった。こうなると私が真理子の話に入り込む余地はなくなる。私が別の話題を振っても、真理子が一方的に話すことが多い。
私は真理子の話に適当に相槌を打ちながら、勉強をするふりをしていた。
「ねえ……聞いてる?」
「うん。聞いてるよー」
私は机の上に開かれた参考書に視線を落としたまま、返答していた。
すると、視界の横から手が伸びてきて、参考書を閉じられた。
「聞いてないよ! なんでそんな素っ気ない態度を取るの! 私に言いたいことがあるなら言ってよ!」
急に出された大きな声に驚いて真理子の顔を見ると、険しい表情をしていた。どうして私が怒られなければならないのだろうか。訳が分からない。
返す言葉が出てこなくて、私は咄嗟に「ごめん……」と言った。
「ごめんじゃわからないよ! なんで……」
そこまで言って真理子は口を噤み、教室から出て行った。
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