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第三章
ある時、見舞いにセレナが訪れた。
「国王様、おかげんはいかがですか」
アダムは中庭のブランコに乗ってぼうっとしている所だった。ブランコをゆすりながら、下を向いて答える。
「すまない。忘れたわけではないのだ。今、審議を」
「お察しいたします。ご無理はなさらないでください」
3日後、サロットも中庭に訪れた。
「国王様、あの」彼は何故だか口ごもった。「来月の建国記念日の」
アダムはブランコに乗りながら答えた。
「忘れたわけではないのだ。今審議中で」
「失礼しました。お察しいたします」
彼もさがって行った。
何か月過ぎたか、アダムは知らない。ある時、時間制で雇っていた乳母のミラがブランコ前に訪れた。彼女は32歳。ふくよかな見た目で、働く時はハキハキし、根の優しい人だった。
「国王様、エドワード様が」
「今審議中で」
「いえ、その」彼女も口ごもった。「たっちを」
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