第三章

1/2
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ

第三章

 ある時、見舞いにセレナが訪れた。  「国王様、おかげんはいかがですか」  アダムは中庭のブランコに乗ってぼうっとしている所だった。ブランコをゆすりながら、下を向いて答える。  「すまない。忘れたわけではないのだ。今、審議を」  「お察しいたします。ご無理はなさらないでください」  3日後、サロットも中庭に訪れた。  「国王様、あの」彼は何故だか口ごもった。「来月の建国記念日の」  アダムはブランコに乗りながら答えた。  「忘れたわけではないのだ。今審議中で」  「失礼しました。お察しいたします」  彼もさがって行った。  何か月過ぎたか、アダムは知らない。ある時、時間制で雇っていた乳母のミラがブランコ前に訪れた。彼女は32歳。ふくよかな見た目で、働く時はハキハキし、根の優しい人だった。  「国王様、エドワード様が」  「今審議中で」  「いえ、その」彼女も口ごもった。「たっちを」
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!