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第一章
「何の騒ぎだ」
宰相のサロットがバルコニーに早足でやってきた。宰相なのに年齢が33歳と若すぎるのは、子供の頃から飛びぬけて頭がよく、13歳で博士号を取っているからだ。
政治家になった後は、下手に若い政治家のように過激な急進派ではなく、味方を創るのが上手な優しい青年だった。見た目も中身を体現するかのように麗しかった。
「国王様、大仕事です。残虐な殺人事件のことで、世論が騒ぎ始めました」
アダムは30歳。先王が早くに亡くなったため、3年前に戴冠したばかりだった。彼は城のバルコニーから市民を見下ろし、異変に感づいた所だった。
「残虐なら国民の気持ちもわかるが、それは司法に任せるべきなのでは?」
「今の司法では国民は黙っていません。法律の改定も考えに入れなければなりません」
「一体どういう事件なのだ」
「胸の悪くなる話ですから、お覚悟なさってください」
「わかった。グロテスクなんだな。そのくらい余は慣れておるぞ」
「被害者は少女です。生きたまま顔面の皮をはがされ、四肢を切断されました」
アダムは愕然とした。「女の子にそんなひどいこと」すぐ切り返した。「ちゃんと極刑なんだろうな」
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