姉と

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私は、自転車で、家から少し離れたお墓へと向かった。 外はもう暗く、あたりからゲッゲッゲッとカエルのなき声が響いている。 今から行くのは、お姉ちゃんのまやのお墓参りである。毎年お盆に家族3人で来ていたが、今年は一人できてみた。 姉の墓の前に行くと、一人だからか、より姉と向き合う気持ちになる。ほかにもあるお墓が気にならないくらいに集中できた。 姉は、私が0歳の時、交通事故で亡くなったと聞いた。当時3歳だった。 私が母にお世話してもらっているのがうらやましかったのか、姉はよく私のほおをつねって私を泣かせ、母にとめられていたという。今思えばかわいいエピソードだ。 記憶にはのこっていないが、たしかに私のほおに姉がふれていた。そう思うと、ふれられたほおがじんわりと温かくなるのを感じる。 夏の間、ずっと暑かっただろう。そう思って、木の桶いっぱいに用意した水をすくって、姉の墓にかけてあげる。 水をかけるたび、亡き姉が喜んでいるのが伝わってくるような感じがした。 姉がもし今も生きていたら、どんな感じだろうか。今頃は大学生だろうか。 私たちは仲のいい姉妹になれてたのかな。 そんなことを考えて、家から持ってきた焼香と数珠を取り出す。焼香にチャッカマンで火をつけると、あたりに焼香の香りがたちこめた。
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