流れる雲をみながら

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新居に引っ越した。 天窓のある、日当たりのいい部屋に。 雲の流れる青い空。月の満ち欠け。雨が叩く様。雪が少しずつ隠す様。きっとこれから眺められる。 絨毯をここに敷いて、お盆とグラスとBGMも。 そんなとき、チャイムが鳴った。 「お届け物でーす」 想定外のものが届いた。 それは、これからもよろしくと言わんばかりにわたしの部屋に鎮座した。 天窓を見つめながら、グラスの置けるテーブルをイメージした。本にノートにペン立ても。今はまだ揃わないそれらを想像しながら、雑誌のページをめくる。 それは、またわたしのところに戻って来た愛椅子との時間と空間のための。肌に馴染むそれは、あの人との時間、温もりも連れてきた。また…… そして、電子板の明かりも点る。 点滅する予感。 「届いた?」 メッセージが届いた。 わたしはその姿を写し、ペンに手を伸ばす。
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