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「やっぱりフォロワーさん随分減ってる……」
ユーザー名「雲母」こと林葉きらら(家事手伝い兼自宅療養中・二十歳)は自身のプロフィールページを開いて呟いた。
「おーい。誰かいますかー?」
チャットルームに反応があって驚いた。今はなきアイドル「キラルン」のボトルメールがきっかけでよく絡んでいる相互フォロワーの一人「メイメイ」だ。
「わぁお!メイメイは実在ユーザーだったんだ。よかったぁ!」
「実在ユーザーって何w」「てか私、相互フォロワー二千人くらいいたはずなんだけどいつの間にか雲母さん一人になっちゃってて!」「私、何かやらかしたかな?」
相槌すら挟ませない勢いで短文の連投で畳み掛けてくるメイメイはかなり動揺しているようだ。
「炎上とか、ずっと恐くてSNSだってリアルの友達同士としかやってなかったのに。前触れもなくこういうの余計ににキツい」
ーーえっこの子まさか、例の件を知らないの……?
きららは現役女子高生メイメイの情弱ぶりに驚きながらもその素直さと繊細さに新鮮な感動を覚えた。ひとまず、他SNSで騒がれて一部のネットニュースで取り上げ始めていたB⭐︎Sの「AIフォロワー疑惑」について一通り説明した。
「疑惑っていうか、こうなるともう確定かな」
「そんな事で炎上中だったなんて……私ちょうどテスト期間だったから……」
「あーそーだったんだー。メイメイ、頑張って学校復帰したんだよね。エラいよ」
「うん。うんと努力して入った学校だから辞めたくなかったの。リアルじゃ相変わらず浮いてるけど、私はこの居場所があるから頑張れるって、自分に言い聞かせてた」
メイメイはよく絡んでいたフォロワーの名前を何人か挙げた。
「どんなしんどい話でもちゃんと聞いて、欲しい言葉をくれたのに」「会った事はないけど、リアルのクラスの子達よりあの子たちの方が本当の友達に思えてたのに……」「みんなAIだったなんて信じられないし、信じたくないよ」
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