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きららがAIがマッチングしたフォロワーの一人であるメイメイと仲良くなったのは、チャットルームがHSP当事者の苦労話で盛り上がった時のことだった。
メイメイは推しであったキラルンの喪失からなかなか立ち直れず、不登校生活を送っている時にこのB⭐︎Sを知ったのだという。
「メイメイ:私の場合、カウンセラーさんにHSPじゃないかって言われたの。それでキラルすすンの件は引き金に過ぎなくて、物心ついた時から私はずっと生きづらかったんだと気づいたの」
「メイメイ、そうだったんだねー」
「自分もそう。まあ、名前ついたからって何?って感じもするけどね」
「そう。治療できるもんでもないから辛いことには変わりないし、周りが変わってくれる訳でもないし」
「雲母:そうかな?自分のしんどさの正体を知れるって大きな事だよ。対処法だって教われるし。でも、世間の人達の一割がそうだって言われると体感的に疑問。ここはこんなに居心地よくて何でも話せるのに、一歩外出たらリアルもネットも歩くハラスメントレベルの鈍感無神経マンばっか」
「メイメイ:雲母さん、同感!私のフォロワーさん達が言い方や話題に気を遣ってくれていつも居心地がいいの、きっと同類の人が多いんだろうね。AIのマッチングマジすごい。みんなに出会えて感謝だわ。もしリアルで十人に一人もの人が同類なら、こんなに私達が生きづらくて毎日すり減らされるはずないって思わない?」
「同感。うちらみたいな人ばかりならきっと戦争だって起きないよ」
「我が強く声の大きな人ばかりが大企業の社長や政治家に選ばれて、ハラスメントがまかり通るような事もね」
「メイメイ:それともみんな、辛さを表に出さずに押し殺して生きているだけなのかな」
「雲母:みんなで一斉に辛さを声に出して訴えたら世の中は変わるのかな?花粉症患者程度には認知されて、妊婦さん程度には配慮はしてもらえるのかな」
「メイメイ:それこそ私達の一番苦手そうな事だわ……」
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