きららとキラルンと雲母(きらら)

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「『雲母さんみたいになれるならHSPでもいいかな』なんて……真っ直ぐ過ぎて眩しいわ。困っちゃう」  パソコンデスクに向かっていた車椅子のきららがそう呟いた。 「きらら。いい加減もう寝るぞ」  就寝前の介助のために三つ上の兄、鍾矢(しょうや)が部屋に入って来た。 「明日は弁護士と打ち合わせだ」 「はあい。わかってる」  鍾矢は銀河をイメージしたB⭐︎Sのスタート画面に目をやると、背後のベッドに掛けた。 「リアルのユーザー同士で交流してた人達も少しはいたんだな。とは言えサポートに問い合わせの嵐でサーバーダウンしてておかしくないのに、そうなってない時点でお察しだが」 「うん。……あ」「どうした?」 「ううん。この様子だと明日にでもB⭐︎Sがサービスごと消えててもおかしくないじゃない?そしたらメイメイとももう話せないと思って」 「そうか……でもそれも仕方ないよ。こうなってしまったらサービスを続けるだけ炎上のネタになるだけで大赤字だろうし」 「でも、大事な居場所だったのよ……私にも、メイメイにも」 「『運営者判断で予告なくサービスが終了することがある』『それにかかる補償責任は負わない』と最初に利用規約に書いてあるはずだ」 「それはそうなんだけどーーあまりにも運営側都合すぎない?」 「君達ユーザーだって、セキュリティや快適性のための月額ほんの数百円程度の課金を惜しむ割に、無料のSNSサービスに色々求め過ぎだし依存しすぎだよーーまあ、こんな事ネットに書いてしまったらもれなく炎上するけど、開発者の本音さ」  彼は立ち上がるとデスクの脇に来て銀河をイメージしたB⭐︎Sのスタート画面を差しながら話を続けた。 「裁判費用のためにB⭐︎Sは企業に売却してしまって、僕らの手を離れているけどーーAIフォロワーにここまで依存してたとはな」 「『誰も傷つかない、優しいインターネット、理想のSNS』ーーそんなの、やっぱりただの幻だったのかな」  きららは寂しそうにため息をついた。
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