第三章・獣族の皇子様

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「うん」  私は、もう1口食べさせてもらう。夕食前だが、甘いおやつを食べさせてもらった。  もちろん途中でルイに気づかれ苦笑いするが。  それからは、私は一度帰宅したから秘密基地に行くようにした。  煌君も大体その辺に居ると教えてもらう。学校が終わると早々と帰り、おやつと色々持って秘密基地に集合した。  洞窟の中に入るには煌君の呪文がいる。そのために合図を送る。  洞窟の結界を触ると術者に反応があるらしい。なので、ちょっと私の魔力を石に送り結界に向けて投げる。すると反応して煌君に出てきてもらった。  魔力も式神を出す修行をして少しなら出せるようになってきた。と言ってもまだ式神まで出せないが。煌君に中に入れてもらうと洞窟の中に入って遊ぶ。 「えっとね……おやつにルイが作ったカップケーキを持ってきたよ。あと、宿題のドリルとノート……トランプとオセロ」 「ちょっと待て。何で宿題のドリルを持って来ているんだよ?」 「だって宿題やらないと。それに、一緒にやらないと煌君やらないでしょ?」  リュックに出しながら私は、そう言った。煌君は放っておくと宿題をやらない。  一度それで小山先生を困らせていた。 「別に、宿題やらなくても困らねぇーよ。あんな簡単な問題」 「煌君が困らなくても先生が困るの。ほら、煌君も宿題のドリルとノートを出して! 国語と算数ね。本の読み聞かせは、親や保護者ではないとダメだから無理だけど」  私は煌君にドリルなどを出すように急かした。  すると煌君は、渋々とランドセルからドリルとノートを出してきた。 「お前……最近言うようになってきたな?」 「えっ? 何が? いいから早く終わらせよーよ」  何を言いたいか分からないが宿題は早く終わらせたい。そして遅くなる前にいっぱい遊びたい。私は、はりきって宿題を進めた。  次の日も、また次の日も秘密基地で煌君と遊ぶ。それにキョウ様の所有する山なので余程以外は安全だろう。……そう思っていた。  しかし今日は一緒に行く途中にパッと私と煌君の前に何かが飛び出してきた。  驚いて見ると小さな男の子だった。しかし獣の耳があり、茶色い丸いしっぽに鋭い爪があった。見た目は私達より小さいが獣族の人型の子だ!
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