第一章・妖精の子供になりました。

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 必死に口に出して聞こうとする。だが、上手く言葉にならないためバタバタと手足を動かすだけになってしまう。  自分の身体なのに自分の身体ではないみたいだ。するとルイって人はニコッと微笑むと私の手を優しく握ってくれた。 「まずは、説明が必要なようですね」  そして詳しく説明してくれた。どうやら私は、本当に異世界に迷い込んだようだった。しかも赤子として。  この異世界は妖精の世界だと知る。ルイという男性も妖精の一さ1人だった。  妖精だと聞いて驚くも納得する部分もある。こんな美しい人は人間の世界には存在しないだろう。  そして私を転生した神様みたいな美しい男性。神様ではなく、妖精の世界で1番の長老である当主・キョウ様だと知る。  どう見ても外見は20代ぐらい。あんな美しく若い姿なのに長老とは凄い。 「妖精は、基本老けません。寿命も人間よりも何倍も長生きしますし、よほどではない限り病気もしません。赤子から幼少期までは人間より成長が早いですが、ある程度に行くと成長が止まります」  そう言っていたから私もある程度までは成長するってことになるのだろう。  しかし、妖精には身分差があるらしい。幼少期や能力の低い妖精は“準妖精”と呼ばれる。身体は小さいままで大きくなれない。羽根も消せないし、身分と能力は低い。  ルイは“正妖精”。正妖精は大きく小さくなったり出来るらしい。  羽根も自由に出し入れ出来るとか。身分と能力もかなり高い。  ちなみに能力とは妖精が生まれつき持っている特殊能力らしい。その妖精によって持っている能力はそれぞれ違う。それで正妖精になれるかがハッキリする。  ルイの特殊能力は“心を読む”。だから赤子で言葉を話せない私の気持ちを理解し、話せるのだと理解する。まさに世話役に適任だろう。 (あれ? しかしそうなると、私はまだ準妖精?)  なのに、身体が赤子なのに大きい。それに羽根も生えていない。 「多分、転生の時の影響かと? キョウ様に力を貰っていますからね。羽根は、もう少し成長なさると生えてきます。その成長に合わせて能力は、何かハッキリするでしょう」  ルイはそう言ってくる。私の能力か……一体どんな力があるのかしら?  まるで、何処かの絵本にあるおとぎ話のような展開だ。
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