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まさか、それが実現して体験することになるなんて、誰が想像しただろうか?
だがそれは私が憧れていた世界でもあった。妖精になって空を高く飛びたい。
素敵な魔法を使える魔法使いになりたいとか。病院のベッドで何度も考えたことか。
そう考えると感情深い。すると、ぐっーとお腹の音が鳴った。
あっと思った時は、もう遅い。何だか恥ずかしくなってくる。ルイはクスクスと笑っていた。
「おやおや、どうやらお腹が空いたようですね? ちょっとお待ちください。ミルクを作って参ります」
あ、どうもすみません……。
顔が火照るのが自分でも分かった。ルイが立ち上がると庭の方から何かが飛んできた。
「お待ちくださいませ。そのお役目私達にお任せください」
飛んできたのは小さな妖精3人組だった。3つ子だろうか?
赤、黄色、青の服を着ているが3人共同じ顔をしていた。年齢は中年ぐらいだろうか? わぁ~小さな妖精さんだわ。
こちらは妖精らしいので感動してしまう。
「おや、ミー、スー、ユーではありませんか。 どうなされたんですか?」
ルイが尋ねると3つ子の妖精はルイの周りをクルクルと飛び回ると止まった。
「私達も赤子の面倒を仰せつかいましたわ。ミルク作り、オムツの交換などは私達にお任せ下さい」
はりきりながら声を揃えてそう言ってくる。どうやらこの妖精達も私の面倒を頼まれたようだ。ルイは、それを聞いてにっこりと微笑む。
「そうですか? では、お願い出来ますか?」
「お任せ下さい!」
3つ子は、元気に言うとクルクルと周りながら凄い速さで飛んで行ってしまった。
(新幹線のような速さだった。あの人達は誰?)
私はルイにそう尋ねる。するとルイは、こちらを見てクスッと笑う。
「あの3つ子は左からミー、スー、ユーと言います。この屋敷の使用人もしている準妖精達ですよ」
ルイが詳しく説明してくれた。
(あ、だから身体が小さいのか。しかし使用人なんだ? 準妖精達は身分が低いと使用人になるの?)
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