第三章・獣族の皇子様

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「私達が……ですか?」 「そうじゃ。現に獣族の幼き皇子と上手くやっておる。それは、昔の古い者には出来なかったことだ。我を信じ、我を認める者に期待をしておるぞ?」  キョウ様は寛大な心でそう言って下さった。キルア様は認めたくない様子だったが、キョウ様の決断にそれ以上は、何も言わなかった。  この話は、それで終わることになり離れの家に戻された。  そして夕食を食べることに。今日は春キャベツと豚肉のゴマ味噌マヨ炒めと、たけのこご飯、そして菜の花のおひたしと味噌汁。  美味しいのに……しゅんと落ち込む。 「カレン、元気を出して下さい。キョウ様は、寛大に許して頂いたのですから」 「うん……そうなんだけど」  ルイは心配して励まそうとしてくれている。それは、嬉しいのだが。  納得していない部分と、まだ煌君の言われたことがショックなのだろう。 (私は、どうしたらいいのだろうか? 妖精族が嫌いだとハッキリ言われちゃったしな)  何をどうしたら妖精族と獣族が仲良くなれるのかを考え込む。あまり、しつこくするのもどうかと思うし。  しかし、何かをしないと仲直りが出来ないままだ。それに……種族が違うと仲直りしたらダメなの? 「ねぇ、やっぱり妖精族と獣族って仲良く出来ないのかな? 好きとか嫌いでダメになるのかな?」  私はルイとシンに相談してみる。すると2人は驚いたようにお互いに顔を見合わせる。するとルイは合図を送るようにすると、シンは箸を箸置きに置いた。 「カレン、お前……やっぱり末っ子皇子が好きだろ?」 「えっ? 違うよ。ただ友達として仲良くしたいだけで」  好きとかの問題ではないでしょ? この際。  急にそんなことを言ってくるから顔が火照ってしまう。するとシンは深くため息を吐いた。 「まぁ……この際どちらでもいい。お前が獣族の末っ子皇子と仲がいいのかが問題だな。それが反対される原因だからな」
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