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品名 学生用ローファー
サイズ 二十三センチ
色 黒
レジカウンター横の机にある丸椅子に座り、注文書を見ながらノートパソコンに依頼を打ち込む。
国内外を問わず靴メーカーの商品を買い付けて売る個人商店であるこの鳩目靴工房で祖父の頃は主力であったオーダー靴の注文を受けるのは実に三ヵ月ぶりだった。それほど世間ではオーダーメイドで靴を作ろうとする人間はまだまだ少ない。
『オーダーメイドの靴ならあの子も今度こそ傷つけないように大切に履いてくれるんじゃないかと思って作りに来たの』
それが彼女が今回依頼してきた理由だ。
腕が鳴るが、不思議なものだ。彼女の中三になる娘のものだと云うその使い古したどこにでもある黒のローファーはつま先の部分だけが何かに擦れたように丸い形の傷がいくつも重なるようについていた。
いったい何の傷だ。同じように傷をつけてきて、これが四足目だというが、そこに刻まれた傷は普通に歩いて付くような傷には見えなかった。
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