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「メンテナンスフリーなんですよ」
「ええ? すごいですね、それは」
大袈裟に驚く男に、桜井はクククと笑った。
「どうしたんです?」
「いいえ、なんでもございません」
タブレットを取り出し、例の画面を見せると、客の男は食い入るようにそれを見た。
「あの、もし良ければ、サンプルというか、ロボットを見せてもらえませんか?」
桜井はニコッと笑うと、胸をトンと叩いた。
「お客様、目の前にいるじゃないですか」
「はい?」
「私もロボットです」
「またまた、ご冗談を」
「やっぱりバレました?」
後頭部に手を回し、照れ笑いをすると、男の視線が桜井の肘の裏にとまった。
例の、謎の記号だ。
「ん? どうかなさいましたか?」
「いえ……それにしても、こう言ってはなんですが、従業員さんが少ないんですね」
「あぁ、人間はあまり雇わないようにしてるんですよ」
「ん? と言いますと?」
「いえ、失礼。お気になさらず。ちゃんといますよ」
桜井は軽く咳払いをすると「エリーさん、お茶お願いできるかな?」と叫んだ。
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