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桜井の目的は、AIとテクノロジーに復讐することだった。
しかし、それだけでは生きてはいけない。
なにより、なにをもって復讐と呼べるのか、それが見つからない。
ましてや今となっては、生活の至るところにテクノロジーが活かされ、AIの進化は多くの人に役立っている。
自身も含めてだ。
それでも桜井は信じている。人に勝るものはない。
父はAIやロボットに負けたのだろうか。
決してそんなことはないはずだ。
AIには、その向こう側が見えていない。
父のように、誰かの明るい未来が原動力にはなっていない。
桜井カンパニーには秘密がある。
それは、そういった桜井の信念を証明するための存在であるということだ。
「ロボットなのに、こんなに感情移入するなんて」
「ありがとうございます。弊社のロボットは、人間を目指してますから」
「もはや人間ですよね。テクノロジーの進化を感じました」
「ククク、ありがとうございます。またのご利用、心からお待ちしております」
業績が上がるたびに、桜井の気持ちは晴れていく。
どんなロボットもAIも、人には敵わないのだ。
誰もが明るく未来を見られるよう、今日も客を相手に詐欺をはたらいていく。
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