1人が本棚に入れています
本棚に追加
「人斬りってーと人斬り京介が有名だが、そいつと違うのかい」
街道沿いの茶屋にて。夕刻でお茶をしに来た者達で賑わう中、鳶職風の男が団子を頬張りながら隣の男に問い掛けた。
「あぁ、そいつはな……」
その男は茶をすすりつつ語る。
「なんでも金持ちばかりを斬るらしいぜ?人斬り京介の場合は悪人だけを斬ってるって噂だろ?だがこいつは悪人善人関係なくだ。確か名は蒼龍っつったかな。つい先日隣町の成金野郎が殺されたんだよ。次はこの町の金持ちが狙われんじゃねぇかって噂だ」
「へぇ~、物騒だねぇ」
「ま、俺らは金持ちじゃねぇから関係ないけどよ!」
ゲラゲラ笑い合う二人だったが、そんな彼らの会話の終わりを合図に芥辺京介は一口茶を啜ると、椅子に置いた刀を腰に差して立ち上がった。
茶屋の店主に金を支払い、店を出る。もう日が暮れかけている。芥辺は今宵、蒼龍を斬るのだ。
最初のコメントを投稿しよう!