蒼は極楽の夢を見るか

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「人斬りってーと人斬り京介が有名だが、そいつと違うのかい」 街道沿いの茶屋にて。夕刻でお茶をしに来た者達で賑わう中、鳶職風の男が団子を頬張りながら隣の男に問い掛けた。 「あぁ、そいつはな……」 その男は茶をすすりつつ語る。 「なんでも金持ちばかりを斬るらしいぜ?人斬り京介の場合は悪人だけを斬ってるって噂だろ?だがこいつは悪人善人関係なくだ。確か名は蒼龍っつったかな。つい先日隣町の成金野郎が殺されたんだよ。次はこの町の金持ちが狙われんじゃねぇかって噂だ」 「へぇ~、物騒だねぇ」 「ま、俺らは金持ちじゃねぇから関係ないけどよ!」 ゲラゲラ笑い合う二人だったが、そんな彼らの会話の終わりを合図に芥辺京介は一口茶を啜ると、椅子に置いた刀を腰に差して立ち上がった。 茶屋の店主に金を支払い、店を出る。もう日が暮れかけている。芥辺は今宵、蒼龍を斬るのだ。
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