鏡と私

4/6
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「なっ……待ちなさいよ!」 「ちょっと! 真実!」 私は苛立った久美と香織の声を背に、猛スピードで屋上の階段を登っていき、途中の非常階段へ続く扉に身を隠した。 そして息をひそめて、久美達がやってくるのを心を躍らせて待つ。 ──「……はぁっ……どこ行った?」 「ふざけんな!……真実ででこい!」 (あと少し……) 二人の足音がすぐそこまで聞こえてきたのを確認して、私は一気に扉を開けた。そしてこれでもかと大きな声を上げた。 「ばあっ!!」 私の声に久美と香織の身体がビクンッと震えた。 「っ……きゃあっ!!」 「ぎゃっ!!」 久美と香織が目を見開くと、驚きのあまり二人の身体が後ろへと傾いた。 私は、さっきの理子と同じように、ぐっと二人の肩を押してあげる。 ガタガタガタッ──ドサッ!! すぐに威勢の良かった二人の首は、おかしな方向に曲がり、手足はだらんと投げ出されピクリとも動かなくなった。 「あら? 鬼ごっこ、もうおしまい?」 私は久美と香織を見下ろしながら、大声で笑ってしまいそうな口元を押さえた。 そしてすぐに頭の中から、が聞こえてくる。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!