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まず、胸元に下げられたギルドカードを手に取り、ポキリと二つに折る。冒険者以外にはあまり知られていないが、ギルドカードは分割式になっている。冒険者の遺体を発見した際はギルドカードを折り、ギルドへ提出することが義務付けられている。
遺体が激しく損傷していたり、白骨化していたりしても、ギルドカードが残っていれば個人を識別できる。ギルドカードは基本的に免許証やステータス確認に用いられるが、実はドッグタグ(認識票)の役割もあるのだ。
残念ながら、所持品はほとんどが焼け焦げている。ウィザードの炎魔法で焼かれたのだろう。装備品も軒並み半壊しており、形見の品としては痛々しい。
なにを持ち帰るべきだろうと細かく所持品を確認していると、不思議なことに涙がこぼれてきた。
所持品に込められたであろう思いを想像するたびに、彼が転生前の世界の人々と何も異なるところがないと実感してしまったのだ。
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