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「良いのに。前も言ったけど慣れてるよあたし。瑛もふつ〜うに吸ってたし、お母さんなんかあたしがちっちゃい頃からリビングでタバコ吸ってたよ」
「はは、その二人と同じになりたくないかな」
碓氷は軽く微笑む。あたしは困惑する。
それって、あたしのこと、大事にするって意味にとらえてしまうけれど……良いのでしょうか。
勝手に胸が高鳴ってしまうのを、あたしはどうにか抑えた。碓氷の取説は理解している。深読みするだけ地獄だ。
ヤマさんが持たせたというお酒は三本あって、あっという間に全部空っぽになっていた。互いに酒豪を認め、終始楽しい晩酌だった。
懐かしい話をした。写真も沢山見せてもらった。
会いたいな〜、と思わず呟けば、会えるよいつか。と碓氷は言った。会うことを強要しない碓氷が、碓氷で、あたしは嬉しかった。
気付けば時刻は深夜1時を回ろうとしていた。そろそろ眠気によって思考は支配されそうだ。
碓氷なんて重症である。もうほとんど目を閉ざしている。
「寝るならベッド使いなよ」と言っても、受け答えは「んー」か「ふふ」と笑うだけだ。意識は半分、睡眠中に違いない。
でも、そちらの方があたしも気楽だったりする。変な気を起こさなくて済む。間違いがあってはならない。
あたしと碓氷は、友達同士であれば知らずに済む彼是を知りすぎているから。
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