軽くて重いソーダ水

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「キミに……いや、その前のユカに告白されたときだって、俺は本気になろうとしたんだ。けど出来なかった」 「……」 「俺が好きなのは、網代、お前だから」 「え」  突然の告白に息を呑む。低く響く声に耳の奥が発熱する。まだグラスに口を付けていないのに、視界がふわふわと揺れた。 「一途に考えちゃうのって網代のことだけなんだよ。網代じゃなきゃダメなんだ。俺は網代が好きなんだよ」  静かに流れるピアノの旋律に、聞き慣れた「あじろ」の三音が乗っている。まるでそれがメインテーマであるかのようにあじろの旋律が繰り返される。 「な……んで」  山田は目を細めた。 「キミもユカも俺の外見だけで声を掛けてきて、中身なんてちゃんと見てくれようとしなかった。だから思ってたのと違うって離れていった。でも網代は違う。この間だって、ちゃんとやる奴だって言ってくれただろ。あのとき俺、すっげー嬉しかったんだぜ」  ——そう言いつつちゃんとやるでしょ、あんたは。  確かにそんなことも言った。でもそれは同期としての発言であり、何だかんだ真面目なところを知っているから出た言葉で。
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